地盤解析
部門

私たちの生活の中には、「地盤」に関連して生じるさまざまな問題があります。
軟弱地盤・斜面災害・地下水環境・地震防災などがその例です。
地盤解析部門では、「調査」・「観測」・「解析」の3つの技術を駆使して、
地盤に関連して生じるさまざまな問題の解決を図ります。
これにより、社会生活におけるインフラ整備や安全で安心な生活環境の確保をサポートしています。

  • 不連続性岩盤解析

    道路や鉄道などの交通輸送路や山間部の住宅地などにおいて、岩盤斜面の安定性評価はきわめて重要な課題です。平成8年の豊浜トンネル崩落事故の発生などにより、社会における斜面防災の重要性が認識されるとともに、そのためのさまざまな調査技術も開発されています。当社では、岩盤斜面における調査・観測・解析技術の活用により、斜面の安全性評価を行なうとともに必要であれば対策工法の提案までを行なっています。

    亀裂などの不連続面の発達した岩盤において、その強度・変形特性は、不連続面の強度・変形特性に大きく影響を受けます。当社では、岩盤内の不連続面を対象とした一面せん断試験装置などの試験装置や各種解析手法(複合降伏モデル(MYM)、不連続変形法(DDA)、マニフォールド法-不連続変形法連成解析(NMM-DDA)など)を開発・運用し、不連続性岩盤の実挙動の解明に取り組んでいます。

    道路斜面の例

    道路斜面の例

    主な業務実績

    • 岩盤応力分布に関する数値解析:(独)産業技術総合研究所
    • 岩盤不連続面が岩盤初期応力に及ぼす影響の数値計算:(独)産業技術総合研究所
    • 岡山応力測定孔コア不連続面せん断強度試験:(独)産業技術総合研究所
    • 麻畑2号坑捨石たい積場の地震時安定性評価及び不連続変形法解析メッシュ作成:(国研)日本原子力研究開発機構
    • 鉱さい堆積場のリスク解析・評価検討:(国研)日本原子力研究開発機構
    • 大規模岩盤斜面の安定性評価:民間企業
  • 斜面安定解析

    斜面安定解析では、各種機関の設計指針に基づいた安定性評価と対策工の設計を行うとともに、検討箇所の特性に応じて数値解析手法を併用した検討を行います。また、自然災害発生時の緊急対応策として、通信ネットワークを活用した監視(観測)システムを提供しています。

    一般的な対策設計指針の適用が困難となる地形・地質条件としては、オーバーハング等の特殊な断面形状や強度の異なる岩石から構成されるような複雑な地盤構成があります。このような箇所では、さまざまな数値解析手法による変形解析等を併用した安定解析を実施し、現地条件に合致した最適な対策工の検討を行います。

    また、自然災害が発生した場合には、変状の進行状況等を把握して避難・立入り禁止等の緊急対応を的確に実施することが必要となります。このような要求に対して、通信ネットワークを利用したリアルタイムの変状監視システムを構築・提供します。さらに、これらの情報をWeb-GISなどを活用して統合することによって、総合的な防災対策を支援します。

    主な業務実績

    • 一般国道353号防安雪災害(内地国道・凍雪害)地すべり対策修正設計:新潟県柏崎地域振興局
    • 小赤沢地区他砂防堰堤補強等設計業務:国土交通省 北陸地方整備局
    • 地すべり対策工事(公共)当初3号その3:神奈川県小田原土木事務所
    • 第二東名高速道路 大平地区構造調査設計:中日本高速道路(株)
    • 小滝地区他地質調査及び動態観測業務:国土交通省 北陸地方整備局
  • 軟弱地盤解析

    軟弱地盤においては、降雨や地震などの自然災害などの他に、構造物の施工や掘削・盛土などの人為的要因によっても地盤の変形や破壊にいたる場合があります。当社の携わった事例では、軟弱地盤上に施工された高さ5m程度の盛土が数時間の間に沈下~すべり破壊を起こし隣接する舗装道路を2m程度隆起させた事例がありました。当社では、実地盤において生じるさまざまな地盤災害(変形や破壊)に対して調査・観測を行ない、その原因究明と対策へのアプローチを行っています。それらを踏まえて実施するFEM解析などによる変形解析の結果は、地盤の変形・破壊の程度を予測し、対策へ反映されます。

    盛土のすべり破壊による
    道路の隆起

    主な業務実績

    • 国道道路改築委託(軟弱地盤解析その2):千葉県長生土木事務所
    • 地特(改築)工事(幸手境線・軟弱地盤解析業務委託):埼玉県杉戸県土整備事務所
    • 福田町排水区地盤解析等業務委託:仙台市建設局
    • 軟弱地盤技術解析業務委託:茨城県竜ケ崎工事事務所
    • 深川留萌自動車道留萌市十六線沢軟弱地盤解析設計外一連業務:国土交通省 北海道開発局
  • 浸透流解析

    河川堤防は、変状誘因の一つとして堤体内水位の上昇が挙げられ、気象条件により堤体内は乾湿を繰り返し、水位が大きく変動します。浸透流解析においては、堤体内の水位挙動を的確に反映することが重要です。提体内の水位状況を把握するため、(独)土木研究所(当時)、(財)国土技術研究センター(当時)及び当社を含む民間企業8社による共同研究「堤防管理技術高度化のための堤体内水位観測方法の開発」に参加しました。共同研究で使用した各種水位観測手法からは、概ね妥当な堤体内水位観測結果を得ることができ、その成果は「河川堤防における堤体内水位観測マニュアル(案)」としてとりまとめられました。当社では、共同研究で蓄積した知見を活かし、実現象に即した浸透流解析を行っています。

    主な業務実績

    • 久慈川・那珂川堤防照査検討業務:国土交通省 関東地方整備局
    • 宮古地区工事実施測量設計業務:国土交通省 北陸地方整備局
    • 青森河川国道管内堤防設計業務:国土交通省 東北地方整備局
    • 手取川堤防浸透対策検討業務:国土交通省 北陸地方整備局
  • 3次元地質・地盤モデリング

    BIM/CIMにおいては、調査から設計、施工、維持管理、更新・解体まで属性情報を持つ3次元モデルを共有しながら改善を繰り返すことで、効率的な事業推進を可能にして費用対効果を最大化することを目標としており、地質・地盤情報についても3次元モデルを構築することが求められています。

    3次元地質・地盤モデルの品質は、モデルの構築に利用可能なデータの質・量、そして、それらから読み取れる地質・地盤の分布、積み重なり、性状などを総合的に解析・評価する土木地質技術者の能力によります。当社では、高品質な成果品を提供するため、これまでに培った4次元的思考能力を有した経験豊富な土木地質技術者が3次元地質・地盤モデリングを行います。また、モデリングに必要なデータ取得段階からなど、ニーズに応じてコンサルティングします。

    主な業務実績

    • 3次元地質情報解析業務:(国研)土木研究所
    • インフラ施設の液状化評価のための3次元地盤構造モデルの作成手法の開発:国土交通省 国土技術政策総合研究所
    • 露天坑水中の鉄発生源対策後の地下水流動解析及び物質移行解析パラメータ整備等:(独)日本原子力研究開発機構
    • 幌延沿岸域を対象とした深部地質構造発達過程の三次元モデル化・解析に係る情報の分析整理:(独)日本原子力研究開発機構
    • 構造物基礎、トンネル、鉱山などの3次元地質・地盤モデリング:民間企業数社
  • 自然災害の確立論的評価

    自然災害における決定論的な評価が困難な事象として、落石・岩盤崩壊における崩落経路・エネルギーの経時変化や火山噴火といった大規模な自然現象などが挙げられます。当社では、それらの災害規模などを把握するため、確率論的なアプローチも試みています。

    落石や岩盤崩落現象における崩落経路・エネルギーは、岩塊の形状・斜面形状・岩塊や斜面の物性・植生の有無等によって様々に変化すると想定され、決定論的な挙動予測が困難な場合があります。このようなケースでは、不連続変形法を用いた崩壊シミュレーションによって崩落経路やエネルギーの範囲を想定し、各種対策を講じます。

    火山噴火等の長期間継続する大規模な地質現象の活動・被災予測では、発生機構や特性に関して不確定な要素が多く含まれる場合があります。このようなケースでは、過去の活動履歴から活動分布特性を抽出し、モンテカルロ法による活動確率の空間分布の解析や数値解析による降灰分布を予測します。

    主な業務実績

    • 富士山山体地質調査業務:国土交通省 中部地方整備局
    • 大規模岩盤斜面の地震時安定性評価及び崩壊土砂の挙動解析:民間企業
    • 鉱さい堆積場のリスク解析・評価検討:(国研)日本原子力研究開発機構
    • 火山活動の長期予測モデルの開発に係わる作業:(独)核燃料サイクル開発機構
    • 浅間火山における降灰シミュレーションの実施:(独)産業技術総合研究所

技術関連

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